2011-01-01から1年間の記事一覧

とある日の検査記録

とある日の大腸内視鏡検査記録です。6件と少なかったですが、どの患者さんも大変スムーズに挿入が出来ました。 数字は盲腸に到達するまでの時間です。挿入時間は患者さんの腸の走行や開腹手術歴などで様々ですが、平均すると5分前後です。この日の予約は奇跡…

バリウム検査と内視鏡 2

もちろん、「しいてメリットをあげると」ということですので、内視鏡が全体を把握ことができないわけではありませんし、バリウムでは病変の詳細がわからないということでもありません。ところで、胃がん検診は「まずバリウムをやって異常が疑われたら精密検…

バリウム検査と内視鏡 1

「胃のバリウム検査と内視鏡検査はどちらがいいの?」という質問をよく受けます。大学病院に勤務していた頃、教授の市民公開講座でも同じ質問がありました。教授は難しいことを易しく説明するのが素晴らしく上手です。 池上彰さんを見るといつも教授を思い出…

なぜ胃カメラマン?

このブログを読んでくれた友人から「なぜ大腸の方が得意なのに胃カメラマンなの?」という質問がありました。...単に語呂がいいからだけなのです。。。

NBIで発見した一万円札の秘密

拡大内視鏡の威力をご覧いただこうと思って1万円札を観察してみました。 下図は白色光(通常の自然な照明)で見ている写真です。[:] ふとNBI(http://www.olympus.co.jp/jp/news/2006a/nr060515evisj.cfm)という特殊な光によるモードに切り替えたところ...、[…

炭酸ガス 続き3

炭酸ガスを大腸ESD治療に導入して、安全性、有用性が確認されました。オリンパス社も炭酸ガス送気の装置を本邦で販売開始しました。このように学術的、商業的の両面から炭酸ガス送気が脚光を浴びるようになりました。遠回りなお話でしたが、本邦における炭酸…

炭酸ガス 続き2

そこで、胃カメラと大腸内視鏡を続けて行う場合、大腸内視鏡検査に炭酸ガスを使用してみました。体内に取り込まれる酸素の量と、呼気中の炭酸ガス(=二酸化炭素)をモニタリングして安全性を、また従来に比して腹部膨満感の訴えが減ったことを確認できまし…

炭酸ガス 続き1

この炭酸ガス送気が本邦で普及したのは、剥離法による内視鏡治療が大腸でも実用化してきたことが強く関係しています。その背景について、ちょっと遠回りにお話します。私は数年前まで国立がんセンター(現国立がん研究センター)の、がん予防・検診研究セン…

炭酸ガス

内視鏡検査では胃や腸に気体を入れてパンと張った状態で観察する必要があります。通常は空気を送り込んで検査をします。胃カメラでは送り込んだ空気を検査終了時に吸引して終えるのでさほど問題にはなりませんが、大腸は胃に比べると長くて複雑な形をしてい…

うつ伏せ 仰向け 

胃カメラではめったにありませんが、大腸内視鏡検査中には体の向きを変えていただくことがよくあります。重力を利用してスムーズにスコープを挿入するためです。不思議なことに「仰向けに寝て下さい」とお願いすると、うつ伏せになられる患者さんは少なくあ…

鎮痙剤(ちんけいざい)

心臓病や糖尿病、前立腺肥大などの持病が無ければ、内視鏡検査の前に胃腸の動きを抑えるために鎮痙剤を注射します。胃カメラでも大腸内視鏡検査でも基本的に同じように使用します。 第一選択としてブスコパンという薬を使います。 これは胃腸の動きを抑制し…

大腸内視鏡検査での麻酔

軸保持短縮法で挿入が可能な場合は麻酔の必要はありません。鎮痙剤(ちんけいざい)という腸の動きを抑える薬のみで検査が可能です。しかし、癒着などで腸の形が難しい場合は、やむを得ず違和感を強く感じたり痛みを伴ってしまうことがあります。そのような…

癒着

軸保持短縮法を主体として挿入を心がけていますが、腹部開腹手術歴があり腸管が癒着している方は、軸保持短縮法で挿入することが困難ことがあります。癒着とは腸管同士がくっついて剥がれない状態です。つまり、ヘアピンカーブのような急な屈曲部が固定され…

スコープの可動部分の仕組み

内部の関節コマとワイヤーで湾曲を実現しています。スコープ先端の湾曲部は、多数の関節コマを接続した構造になっています。ちょうど、蛇の玩具と同じような構造です。この湾曲部の先端には湾曲操作ワイヤーが固定されており、操作部の湾曲操作ノブに接続さ…

拡大内視鏡

検査医は右手でスコープを押したり引いたりねじったりという操作をします。左手でアングルノブというダイヤルを使って先端構成部を上下左右に操ります。 この左右の操作のコンビネーションでスコープを進めていく訳です。当時の拡大内視鏡はCF200Zという機種…

軸保持短縮法

具体的な方法はさておき、私がこの方法を主体に挿入するようになったのには必然性があります。大腸内視鏡を本格的に担当するようになったときの師匠が拡大内視鏡のスペシャリストでした。拡大内視鏡というのはズーム機能がついており、発見した病変を拡大し…

伸ばしてからたたむか、たぐり寄せるか

大腸の挿入法を大きく分けると1.伸ばしてからたたむ、2.たぐり寄せて進むか、の2通りになります。前者は「right turn shortening」、後者は「軸保持短縮法」と呼ばれる方法です。※詳細は検索していただくと多数ヒットします。私は軸保持短縮法を主体に挿入し…

大腸内視鏡の挿入流儀

大腸は複雑な形でお腹に収まっています。ですから、ただ押しても内視鏡は途中でとぐろを巻いて、進んでいかなくなってしまいます。正しく挿入するためには一定の理論と技術が不可欠です。大腸内視鏡を盲腸まで挿入する方法は検査医により異なります。トレー…

キッズケータイ HW-02C

近所の家電店でキッズケータイが0円で売っていました。 GPSで子供の居所も検索でき、防犯ブザーにもなります。必要十分な最低限の機能しかついていないのも、小学校低学年用のエントリーモデルとして最適ですね。

苦しかったわけ

今日、胃カメラを挿入するのに若干手こずる方がいました。普段通りに挿入しているのですが抵抗があります。ふとモニターから患者さんの顔へ視線を向けると不自然に首をひねっていました。 挿入時には正面を向いていたのですが、患者さん自身も無意識に動いて…

Poor preparation

時に前処置が不十分なまま検査が行われることがあります。視界不良の中、経験を頼りになんとか盲腸まで挿入はできますが、腸管の残渣を、内視鏡で洗浄したり吸引したりで時間がかかりますし、最適な条件ではありませんから挿入が難しくなります。また、観察…

大腸前処置の判定

前処置で腸の中がきれいになってくると、次第に固形物が少なくなり、色がだんだん薄くなってきて来ます。 上の写真はあともう一歩のところです。 個人差がありますが、約2Lの下剤を内服後2〜3時間、6-10回ほど排便があると、ほとんど透明になります。 完全に…

富士山

富士山の近くに遊びに行きました。雲ひとつ無い秋晴れで山頂の建物までくっきりと見えました。 よく見るとかなり深い溝のようなものがあります。 この溝のようなものは「大沢崩れ」と呼ばれるものだそうです。 http://www.cbr.mlit.go.jp/fujisabo/jigyou/sa…

大腸内視鏡の前処置法

胃は最後の食事から12時間もすれば自然に空っぽになりますので、食事制限以外に検査前に特別な準備は不要です。しかし、大腸の中は多かれ少なかれ常に便が残っていますので、積極的な前処置をしなければなりません。 つまり、下剤で腸の内容物をきれいさっぱ…

大腸カメラとは

大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)は肛門からスコープを挿入して盲腸(時に終末回腸)までの大腸の内腔を観察する検査です。 胃カメラよりわずかに太く長い専用のスコープを使用します。大腸粘膜の異常(主に炎症、ポリープ、がんなど)を診断するための…

マウス

先日、数年ぶりにマウスを買い換えました。マウスにも寿命があり、チャタリングというクリックがうまくできなくなる現象が現れたためです。チャタリングはシングルクリックしても勝手にダブルクリックされたり、ドラッグの途中でクリックが離れた状態になっ…

生検

内視鏡はレントゲンやCTと同じく画像診断検査ですが、生検(せいけん)ができる点に大きなアドバンテージがあります。生検というのは粘膜やポリープの一部を鉗子(かんし)という細く長いマジックハンドのような器具で粘膜の一部を採取し、顕微鏡のレベルで…

色素内視鏡

内視鏡を受けたことのある方、検査の最後の方で青い液体を胃の中に撒かれたことはありますか?一番よく使われる液体はインジゴカルミンという青い液体です。胃の粘膜の色はピンク〜肌色なのでちょうど対照的な色です。この液体が凹んでいるところにたまり、…

演者の立ち位置 続き

通常は、演者はスクリーンに向かって左側に立ち、(右利きであれば)右手でマウスを使いポインタを操作し、プロジェクターに映し出された映像と聴講者に視線を動かしながら話します。 この場合、視線の移動は約90度前後です。しかし、その会場は演者がスクリ…

演者の立ち位置

先日、ある講習会がオフィス用品で有名な某社のショールームでありました。パワーポイントでプレゼンテーションする講演を聴講していて、何か違和感を感じました。そして、演者の方が講演をやりずらそうなのです。その原因は演者の立ち位置にありました。