炭酸ガス 続き1
この炭酸ガス送気が本邦で普及したのは、剥離法による内視鏡治療が大腸でも実用化してきたことが強く関係しています。
その背景について、ちょっと遠回りにお話します。
私は数年前まで国立がんセンター(現国立がん研究センター)の、がん予防・検診研究センターで内視鏡検査部門の責任者を担当していました。
同施設では、胃カメラが終わり次第、大腸内視鏡検査を続けて行なうため、胃・腸に空気が多めに入ってしまいます。
そのため、検査後の腹部膨満感や気分不快の訴えが少なからずありました。
そこで、私の先輩ドクターのクリニックで炭酸ガス送気を採用していることを思い出し文献を調べてみたところ、海外ではすでに安全性、および有用性も認められており、オリンパス社も専用の装置を販売していましたが、国内では「知る人ぞ知る」という状態で、学会関連でも内視鏡技師会の議事録に2、3掲載されているのみでした。
一方で、腹腔鏡(ふくくうきょう)という検査や治療では国内でも炭酸ガス送気が使用されていました。